貧血と診断され、鉄剤を飲んでいる方も多くいらっしゃるかと思います。
そんな中、鉄剤が太るのではと疑問を持たれている方が!
特に妊娠中、そのような誤解をされている方がいると心配です。正しい知識を身につけましょう!
私は前置胎盤で、帝王切開の際に出血の恐れがあるため、自己血貯血をすることになりました。
トータルで800mlの血液を貯血するため鉄剤を処方されたので、内服中の注意点等お伝えできればと思います。
私自身薬剤師ですが、今回初めて鉄剤を内服したので、リアルな感想をお伝えします。
妊婦さんじゃなく貧血の方も、ぜひお付き合いください。
ちなみに前置胎盤と自己血貯血については以下もご参考にしてください。
鉄剤の摂取と太ること: 副作用を知る
鉄剤は貧血対策によく使われますが、正しく知って使うことが大切。
特に、妊娠中の女性には、正しい知識が必要です。
鉄剤の基本と役割
鉄剤は、鉄分が足りないときの助けとなる薬やサプリです。
鉄分は、私たちの体でエネルギーを作るために必要です。
鉄剤を摂ることで、鉄分の不足を補い、体のバランスを整えることができます。
適切に鉄剤を利用することで、日常生活の質を向上させることが期待できます。
鉄剤を飲むときの注意点
鉄剤を飲むとき、ちょっとした副作用が出ることもあります。
例えば、お腹が痛くなったり、便の色が変わることがあるので、気をつけましょう。
これらの症状が出た場合は、摂取量を見直すか、医師に相談することをおすすめします。
体に合わないと感じたら、無理せずに使用を中止しましょう。
鉄剤と太ることの関係
鉄剤をたくさん飲むと、太るのでは?という話も聞くことがあります。
実は、鉄剤と太ることの関係ははっきりしていません。
しかし、体の変化には気を付けて、適切な量を摂ることが大切です。
もし、体重に変化を感じたら、摂取方法や量を見直すことを考えてみましょう。
鉄剤の副作用としての太る原因
鉄剤は貧血対策に役立つ一方で、太る原因となる可能性も指摘されています。
特に、妊娠中の女性は、鉄剤の摂取と体重の関係に注意が必要です。
鉄剤摂取と基礎代謝の関係
鉄剤を摂取すると、体の基礎代謝が変わることがあると言われています。
基礎代謝は、私たちが何もしないときに消費するエネルギーのこと。
鉄剤が基礎代謝を下げると、太りやすくなる可能性があります。
しかし、これは人によって異なるので、自分の体の変化をしっかりと観察することが大切です。
鉄不足がもたらす体の変化
鉄不足は、疲れやすさや顔色の悪さなどの症状を引き起こします。
さらに、鉄が不足すると、体はエネルギーを効率的に使うための方法を探し始めることがあります。
これが、食事のエネルギーを蓄えやすくし、結果的に体重が増加する原因となることも。
鉄剤摂取と食欲増加の関連性
鉄剤を摂取すると、食欲が増加することがあるとも言われています。
鉄分が正常になると、体が求めるエネルギー量が増えることが考えられます。
しかし、食欲が増えたからといって過度に食事を摂取すると、体重増加のリスクが高まるので注意が必要です。
太ることと鉄剤の副作用: 事実と誤解
鉄剤と体重増加の関連について、多くの情報や誤解が飛び交っています。真実はどうなのでしょうか。
体重増加の直接的な関連と鉄剤
鉄剤と体重増加の直接的な関連は、科学的には明確には証明されていません。
しかし、一部の人々は鉄剤の摂取により体重が増加したと感じることがあります。
これは、体の反応や他の要因によるものかもしれません。
鉄剤の摂取方法と体重への影響
鉄剤の摂取方法やタイミングによって、体への影響も変わってきます。
空腹時や食後に摂取することで、体の反応が異なることが考えられます。
また、摂取量も体重への影響を持つ可能性があります。
鉄剤の安全な摂取量と体重管理
鉄剤の適切な摂取量を守ることは、体重管理の観点からも重要です。
過剰に摂取すると、体のバランスが崩れるリスクがあります。
日々の体重の変動をチェックしながら、適切な量を摂取することを心がけましょう。
鉄剤摂取による太るリスクと副作用の対策
鉄剤の摂取には多くのメリットがありますが、リスクも無視できません。
どのように対策をすればよいのでしょうか。
鉄剤の選び方と摂取タイミング
鉄剤の種類や成分によって、体への影響は異なります。
また、摂取のタイミングも大切。朝食後や夕食前など、自分の体調や生活リズムに合わせて選ぶことがおすすめです。
特に処方薬は食事の影響を受けたりするので、必ず医師または薬剤師に確認してくださいね。
副作用を軽減するための食事とライフスタイルのアドバイス
鉄剤の副作用を軽減するためには、バランスの良い食事や適切なライフスタイルが大切。
特に、鉄剤と一緒にビタミンCを摂取すると、鉄の吸収が良くなると言われています。
また、吐き気が辛い場合は寝る前に内服するなど服用タイミングを変えることも効果的です。
服用タイミングは他の薬の相互作用もあるので自己判断で行わないでください!
鉄剤と他のサプリメントの併用について
鉄剤と他のサプリメントを一緒に摂取する場合、相互作用が起こることがあります。
特に、カルシウムや亜鉛などのミネラルとの併用は注意が必要です。
妊娠中に鉄分がなぜ必要か?
ここからは妊娠の方向けにさらに詳しく説明していきます。
妊婦さんは出産に向けて血液量が増えていき、鉄分が不足しがちです。
鉄分は血液の中にある赤血球を作るための大事な成分で、赤血球が減ってしまうと、酸素や二酸化炭素の運搬を十分に行うことができません。
妊娠中はお母さんの運搬だけでなく、赤ちゃんの酸素や二酸化炭素の運搬が必要になります。
もちろん、産後もお母さんの回復や、母乳を作るのに必要になるので産前産後も鉄分は意識して摂りましょう。
鉄分の基本
鉄分の必要量
年齢や体調によって前後します。
妊娠中期以降は妊娠していないときと比べて2倍以上の鉄分が必要になることがわかります。
鉄分を多く含む食材
食事による鉄分は動物性の『ヘム鉄』と植物性の『非ヘム鉄』に分けられます。
ヘム鉄はタンパク質と鉄がくっついている状態で吸収されるため、非ヘム鉄より吸収率が高いとされています。
ヘム鉄だけ優先して摂取すればいいかというと、全体の食事バランスが崩れるため、おすすめできません。
非ヘム鉄でも一緒にタンパク質やビタミンCと摂取することで吸収率を高めることができるので、普段の食生活に合わせて選びましょう。
※食材の注意点
赤身魚の注意点
赤身魚で思いつくのがマグロだと思いますが、マグロにはメチル水銀という物質が含まれています。
週単位で100g以下を目安に、食べ過ぎないようにしましょう。
レバーの注意点
レバーにはビタミンAが多く含まれており、特に妊娠初期は過剰に摂取すると赤ちゃんに影響します。
特に妊娠初期は1日1かけ程度を目安にしてみてください。
ひじきの注意点
ひじきにはヒ素という成分が含まれており、注意が必要です。
ただし、食物繊維やミネラルも多く含まれているので、週に1~2回小鉢程度の量を目安に摂取できるといいですね。
鉄分不足の症状
鉄分不足による貧血を鉄欠乏性貧血と言います。
主な症状として、倦怠感、めまい、動悸、ふらつき、息切れ、頭痛などがあります。
鉄分摂りすぎ(過剰)の症状
逆に鉄分を過剰に摂取すると吐き気などの消化器症状や、肝障害による倦怠感が現れることがあります。
何事もバランスが大切です。
心配だからといって、偏りすぎないようにしましょう。
鉄剤の内服
鉄剤の効果と診断基準
鉄剤は鉄欠乏性貧血改善のために医師から処方されます。
主な診断基準として、ヘモグロビン濃度が12.0g/dl未満だと貧血と診断されます。
一般にヘモグロビン濃度が10.0g/dl以下で鉄欠乏性貧血となり、鉄剤が処方されたり、積極的な治療が開始される目安です。
あくまでも目安で、私のように自己血貯血を行うために鉄分がこれから不足する事態に備えて前もって処方されることもあります。
鉄剤の副作用は太る?
鉄剤の副作用は吐き気、便秘や下痢などの消化器症状や、稀に成分自体が合わず発疹などの過敏症状などがあります。
太るという症状は妊娠中の自然な体重増加や、むくみによるものなどが考えられます。
鉄剤が直接体重増加の原因になるわけではありません。
鉄剤を服用する注意点
ここからは私が実際服用してみて注意したい点をお伝えします。
内服するタイミング
内服した後、大体2時間程度で副作用が出始めることがあります。
私の場合は医師から副作用が出やすい時間帯は寝ていたほうがいいのではという提案で、夕食後に内服していました。
しかし、妊娠後期のおなかで胃が圧迫されたのもあり、鉄剤と物理的な気持ち悪さで寝るのが辛かったです。
医師からはどのタイミングで内服してもいいと言われていたので、昼食後に内服タイミングを変更し試したところ、寝るのが少し楽になりました。
しっかり寝れる方で、朝やお昼に服用している方は、用法を変更してもらい夕や寝る前に服用すると副作用を抑えることができるかもしれません。
※処方される鉄剤で用法が若干違うので自己判断での服用方法の変更はやめましょう。
鉄剤の黒色便
薬剤師だと鉄剤の生活の注意点として黒色便が有名です(笑)
ただ、自分で内服したことがないので実際どんな色か知りませんでした。
少し下品なのですが、アイブローの黒が強いダークブラウンのような色です。
いつもと違う色なのでびっくりしないでくださいね。
また、便の色による消化器からの出血がわからないので、おなかの症状で病院に行く際は、鉄剤を内服していることを必ず伝えましょう。
内服できないときは医師に相談
経口するタイプの鉄剤はシロップから粉薬、錠剤でも副作用が出にくいタイプなど種類があるので、内服するのが辛い場合は医師に相談してみましょう。
医師に相談しにくい場合は、もちろん薬剤師にご相談ください。
鉄剤とサプリメントや下剤の飲み合わせ
鉄剤を内服中、「自分でも鉄分を多めに摂っていかないと!」という頑張り屋さんに多いのがサプリメントとの併用です。
先ほどお伝えした食材も、つわりなどで食べにくい方も多くいらっしゃるかとは思いますが、返って鉄分が過剰になる可能性があるので注意しましょう。
また、妊娠中便秘になりがちで、よく処方される酸化マグネシウムを内服する方いませんか。
酸化マグネシウムは鉄剤の種類によって、吸収を妨げてしまう可能性があります。少なくとも2時間は服用するタイミングを空けましょう。
※他にも鉄剤との飲み合わせが悪い薬が一部あるので、医療機関を受診する場合は鉄剤を内服していることを必ず伝えてください。
薬に頼らず、食物繊維を積極的に摂って便秘を改善できるのもいいですね。
鉄剤の赤ちゃんへの影響
鉄剤は赤ちゃんへの影響はないとされています。
そもそもお母さんの中にある成分ですのでご心配ならず。
むしろ、鉄分不足により、早産や生まれてすぐの赤ちゃんの貧血などが心配されるので、医師から処方されたら必ず指示通り内服しましょう。
まとめ: 鉄剤、太ること、副作用の正しい理解
今回は鉄剤についてお伝えさせて頂きました。
私も鉄剤とは無縁の生活だったので、患者さんに副作用や注意点をお話していたものの、何が一番辛いのかわからないことがありました。
私は比較的副作用は軽めかと思いますが、内服するタイミングなど少しでも参考にして頂ければ幸いです。
また、太るなどの誤った情報で、必要な鉄分を避けてしまい症状が悪化するなんてことがないように正しい知識を身につけましょう。
鉄欠乏性貧血は治療に時間がかかり、症状が改善しても鉄剤を内服し続ける必要があります。
長くお付き合いするお薬になるので、少しでも副作用や負担を軽くして継続していきましょう。
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